僕は理系だからDNSって言葉を聞いたことがあるんだけど、トリッピーはDNSって聞いたことある?
DNSは聞いたこと無いなぁ。
全く見当もつかないし、どういうものか詳しく教えてよ。
分かったよ。
これから「DNSが担っている役割やメリット、設定項目」について説明するね。
皆さん、DNSという言葉は聞いたことはありますか?
パソコンを利用する上で、インターネットに接続することは欠かせません。
しかし、その接続を円滑に行うためには、DNSという仕組みが大きな役割を果たしています。
DNSがなければ、私たちはウェブサイトやオンラインサービスにアクセスすることができないのです。
では、DNSがどのような役割を担っているのか、そしてどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
DNS(Domain Name System)とは
まずはDNSについて簡単に説明します。
皆さんはスマホやパソコンなどで日々何かを検索していると思います。
その時に、検索に合致したWebページに行きつく前に、DNSサーバを経由し目的地を把握するというクッションを置いているのです。
DNSの役割
上の説明でなんとなくDNSが無いと、不便だなということは伝わったかと思います。
DNSの一番の役割はインターネットの住所録ですが、細かく見ると以下のように複数の重要な役割を担っています。
- ドメイン名とIPアドレスの変換
- ロードバランシング
- メールの転送
- セキュリティ
これから書く内容を見ると、DNSの存在無くして、今の便利な環境は無いとすら思うかもしれません。
それでは、DNSの役割について見ていきましょう。
ドメイン名とIPアドレスの変換
DNSの役割として、代表的なものはドメイン名とIPアドレスの変換です。
この役割により、DNSが無いとサイトを検索しても、アクセスできないという問題を解決してくれています。
DNSは、ドメイン名をIPアドレスに変換することで、ユーザーが覚えやすいドメイン名を使用してウェブサイトやサービスにアクセスできるようにします。
ユーザーがウェブサイトのドメイン名を入力すると、DNSはそのドメイン名に対応するIPアドレスを見つけ出し、ネットワーク上に存在する目的のサーバーにアクセスするのです。
ロードバランシング
あまり知られていないかもしれませんが、DNSは負荷分散(ロードバランシング)の役割も担っています。
あまりにアクセス数が多かったり、負荷がかかる処理を行っていたりする際は1台のサーバですべて処理を行っていると以下のような不具合が出る可能性があります。
- 処理能力超過によるサーバダウン
- 1台故障すると、サービスを利用できない
- サーバの寿命の低下
- サーバの処理能力低下によるサービスレベルの低下
特に有料のサービスを提供している場合は、システムが止まると苦情が出てトラブルに発展することは目に見えていますので、複数台のサーバで構成されていることが多いです。
その場合に、DNSはアクセスのたびに異なるサーバーのIPアドレスを提供することで、負荷を均等に分散させることができます。
これにより、ユーザーのアクセスが均等になり、サーバーの負荷が分散されるため、快適なウェブサイトやサービスの利用が可能となります。
メールの転送
実はDNSはメールの転送時にも重要な役割を果たしています。
DNSは、メールサーバーにおいてメールの転送を行うためにも使用されます。
送信者がメールを送る際に、宛先のドメイン名からそのドメインのメールサーバーのIPアドレスを取得し、メールを転送します。
私たちはメールを送る際に、メールアドレスを入力して、送信ボタンを押すだけでメールが相手に届きますが、実は裏ではDNSがきちんと相手先に届くように補助してくれているのです。
そのため、DNSのおかげでドメイン名を使用して手軽にメールを送受信することができているのです。
セキュリティ面
さらに、DNSはセキュリティの面でも重要な役割を果たしています。
DNSSEC(DNS Security Extensions)と呼ばれる仕組みを使用することで、DNSのデータの信頼性や完全性を確保することができます。
DNSSECが無いと、私たちがブラウザと活用してあるドメインで検索した際に、そのドメインと偽物のIPアドレスを故意的に対応させていると、悪意あるサイトが表示されることになります。
そうなると、マルウェアに感染し、個人情報を抜き取られたり、端末を踏み台にされたりと様々な被害にあう可能性が出てきます。
DNSSECにより、ドメイン名とIPアドレスの対応関係が正確で、改ざんされていないことを保証し、危険からユーザーを守っているのです。
ドメイン名とIPアドレスの変換が必要な理由
DNSは重要なシステムだから必須なんだよ。
今まで見てきた中で、皆さんが疑問に思ったのは、”ドメイン名とIPアドレスの変換の必要性”だと思います。
なぜ、わざわざIPアドレスに変換しなければならないのでしょうか?
細かく見ると複雑になってくるので、途中のネットワーク機器などは省略して簡単に説明します。
IPアドレスに変換しなかった世界では以下の画像のようになります。
実はコンピュータは数字しか理解できないため、私たちがドメイン(文字)を入力したとしても、何が書いてあるか理解できないのです。
そのため、目的のサイトにアクセスできずに、エラーが返ってくることになります。
しかし、DNSが存在する世界では以下の画像のようになります。
このように、DNSサーバに問い合わせてドメインをIPアドレスに変換してもらうことで、コンピュータは目的のサーバの場所を把握できるのです。
そのため、私たちがアクセスしたいサイトを表示できるようになるのです。
まとめると、ドメインとIPアドレスの変換が必要なのは、以下の理由からです。
- 人はIPアドレスとドメインどちらも覚えることができるけど、IPアドレスは数字なので大量に覚えていられないが、ドメイン名はサイトの性質に近いためなんとなく覚えていられる
- コンピュータは数字であるIPアドレスしか理解できないため、DNSでIPアドレスに変換してあげないと正しく処理できない
このように、人とコンピュータの橋渡しの役割を担っているのです。
DNSがあることで得られるメリット
今までDNSの役割について見てきて、DNSの大切さを分かってもらえたとは思いますが、さらに以下の2つのメリットが得られます。
- IPアドレスの変更への柔軟性
- トラフィックの効率化
それぞれについて見ていきます。
IPアドレスの変更への柔軟性
ネットワーク業務に関わったり、サーバ保守などの業務の経験をしたりしたことがある方は何度かIPアドレスの変更の機会があったかと思います。
経験が無い方にも分かりやすいように例を2つほど以下に記載します。
- ウェブサイトを別のホスティングサービスに移行する場合、新しいホスティングサービスのIPアドレスに変更する
- 自社の回線サービス切替と共に、IPアドレスの変更を余儀なくされる
このように、IPアドレスが変わってしまうことがあります。
しかし、ドメイン名を使用している場合、DNSの設定を変更するだけで、新しいIPアドレスに対応させることができます。
これにより、サーバのIPアドレス変更時に、利用者に影響を最小限にとどめ、継続してサービスを提供することができます。
トラフィックの効率化
DNSはネットワークトラフィックの効率化にも絡んできます。
DNSを経由することで、利用者の要求に応じて、最適なサーバへアクセスすることができます。
というのも、DNSは、利用者のIPアドレスや地理的な情報を元に、最適なサーバーのIPアドレスを返すような仕組みを持っています。
そのため、ウェブサイトにアクセスする際、ユーザの場所に近いサーバーへのアクセスすることで、通信速度の向上や負荷分散を実現します。
これにより、ネットワークトラフィックの効率化にも貢献しているのです。
DNSの設定項目
普段IT系の業務の経験が無い方は、DNSに関しては今まで説明したような役割やメリットがあることをなんとなく把握しておくだけで良いと思います。
しかし、これからIT業界に転職する方や現在IT系の仕事をしている方はDNSの設定をしなければならない可能性があります。
DNSには以下のような設定項目があり、これらをきちんと設定しないとメールを受信できなかったり、ホームページにアクセスさせられなかったりと死活問題に発展します。
実はDNSには設定できる詳細項目があるんだよ。
DNSの代表的な設定項目は以下の通りです。
- Aレコード
- AAAAレコード
- MXレコード
- CNAMEレコード
- NSレコード
- TXTレコード
それぞれについて簡単に説明します。
Aレコード
IPv4という32ビットで構成されているIPアドレスとホスト名を紐づけてくれます。
検索時にホスト名が入力されると、DNSサーバが紐づけているIPアドレスに変換します。
IPアドレス | ドメイン |
〇.〇.〇.〇 | ○○.com |
△.△.△.△ | △△.jp |
AAAAレコード
IPv6という48ビットで構成されているIPアドレスとホスト名を紐づけてくれます。
役割はAレコードと同様です。
MXレコード
メールに関する項目です。
対象のドメインあてのメールをメールサーバに紐づけてくれます。
この機能が無いと、メールの宛先がどこかコンピュータが判断できないため、メールを受信することができません。
CNAMEレコード
ホスト名の別名を設定することができます。
例えば、同一サーバで複数のサービスを提供することを考えてみた時に
サービスによって、ホスト名を「A.com」、「B.com」に分けたい場合に必要な項目です。
NSレコード
NSはName Serverの略であり、ドメインに対応するIPアドレス情報を保持しているDNSサーバの場所を設定できます。
ここでいうドメインは正式なドメインであり、CNAMEで設定した別名ではありませんので、注意が必要です。
TXTレコード
メールを処理する際に必要な情報を記載します。
メールを受信する際に、送信ドメインが正当なものか判定するシステムがあります。
これをSPFといいます。
SPFにより、正当なものであれば正常に受信でき、正当ではないものは削除または迷惑メールに振り分けられます。
DNSが存在しなかったら、どうなるか?
DNSが存在しなかったら、とんでもない世界線になりそうだね。
今インターネットの世界はDNSありきで動いているので、DNSが無くなると当然支障が出てきます。
DNSは、サーバのドメインをIPアドレスに変換、メールの受信や認証に関するものまでさまざまな役割を果たしています。
DNSが存在しないと、これらの機能がなくなるので、インターネット上に存在するサーバにアクセスするにはドメインではなく、IPアドレスを直接打ち込まなければならない他、メールを受信できなかったり、セキュリティを担保できなかったりと様々な面で支障をきたします。
まとめ
「DNSが担っている役割やメリット、設定項目」について書いてきました。
画像付きで詳しく説明してきたけど、どうだった?
DNSって聞いたこと無かったけど、とても重要な役割を果たしているんだね。
これから少し意識するようにするよ。
そうだね。
僕たちが知らないところでDNSは大変な働きをしているんだよ。
みなさん、いかがでしたか?
DNSはインターネットを利用する上で欠かせない要素であり、ウェブサイトにアクセスしたり、メールを送受信したりする際に重要な役割を果たしています。
普段僕たちはDNSという言葉を目にしたり、耳にしたりすることは滅多にありませんが、インターネットの世界では、非常に重要な役割を担っています。
DNSが無ければ、今までのように簡単にインターネット検索できないし、メールの送受信時にもかなり苦労することになります。
この役割をDNSが担っているので、インターネットを使用する際は意識するようにしてみましょう。
この記事が皆さんの役に立てれば幸いです。
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